刑事事件、少年事件
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身内が事件を起こした
身内が事件を起こした場合、自首を進めることが本人のためだと言えます。
「自首」とは、犯罪が捜査機関に発覚する前に、犯人が自分の犯罪事実を捜査機関に申告して、その身柄の処分を委ねることを言います。
刑法42条では、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と定めています。
この条文によると、「自首」の効果は、刑を軽減することが「できる」なので、減軽は任意的、つまり、軽減するかどうかは、裁判官(裁判員裁判対象事件なら裁判員を含む)の判断にゆだねられるということですが、よい情状の一つにはなります。
一方、匿ったりすると、犯人蔵匿罪や犯人隠避罪が成立する場合もあります。
犯人隠匿罪の「蔵匿」とは、かくまうことであり、犯人隠避罪の「隠避」とは、蔵匿以外で、逮捕・発見を妨げる一切の行為をすべて含みます。
犯人蔵匿罪・犯人隠避罪は「2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」になります。
もっとも、親族が蔵匿や隠避をした場合には刑が免除されます。親族とは、民法上の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)のことです。これに当てはまらない親戚が事件を起こした場合には、注意した方がよいでしょう。
未成年の子が事件を起こした
未成年の子が事件を起こした場合、少年事件は、下記のようなスケジュールで進行します。
- 逮捕(最大72時間)
- 勾留(原則10日、最大20日)もしくは、勾留に代わる観護措置(10日間)
- 家裁送致
- 観護措置(原則最大28日間)
- 審判
審判の結果、
- 不処分
- 保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設送致)
- 検察官送致(逆送致)
- 試験観察
のいずれかになります。
試験観察になった場合には、一定期間ののち、再度審判を受けることになります。検察官送致された場合には、通常の刑事裁判を受けることになります。
このような場合に親がやるべきことは、
- 子供と面会すること
- 差し入れすること
- 弁護士に相談・依頼すること
- 調査官の調査へに協力すること
- 審判に出席すること
などです。
被害者がいる犯罪の場合には、示談金を準備して、弁護士に示談を依頼することも必要になるでしょう。
示談をしたい
刑事事件でもっとも重要なものは、示談です。示談できたかどうかによって、不起訴になるか、起訴されるかが変わる場合もありますし、刑事裁判においても、執行猶予付き判決を得ることができるかどうか、量刑を少しでも短くできるかという判断に示談の有無は大きな影響を与えます。
なぜなら、被害者が少しでも被害弁償を受けたかどうかということが、情状の中で最も重要な要素とされているからです。
しかしながら、本人や家族にできることは、示談金を準備することくらいです。実際の交渉は、弁護士に依頼する必要があります。
なぜなら、交渉をするには、被害者の住所や連絡先を知る必要がありますが、警察官も検察官も、弁護士でなければ、被害者の住所や連絡先を教えてくれないからです。
また、住所や連絡先をすでに知っている被害者であっても、加害者やその親族からの連絡を被害者は嫌がります。そこで、被害者にしつこく連絡を取ろうとすると、ますます情状が悪くなる可能性もあります。示談交渉は弁護士に任せるべきです。
なお、示談の金額には決まりはありません。犯罪に至るまでの経緯、犯罪の状況・被害の程度、被害者の被害感情の大きさ、加害者の経済力などによって変わります。
身内が逮捕された
成人が事件を起こして、逮捕された後のタイムスケジュールは、下記のとおりです。
- 逮捕(72時間)
- 勾留(原則10日最大20日)
- 家裁送致
- 検察官による処分(起訴or略式請求or不起訴)
起訴された場合
- 起訴後勾留(保釈申請が可能)
- 刑事裁判
- 判決の確定
この場合に家族ができることは、
- 面会に行くこと
- 必要なものを差し入れすること
- 示談が必要な場合には示談金を準備すること
ということになります。
起訴されて、保釈が認められた場合には、保釈金を準備するとか、裁判で情状証人になるなどが必要になります。
一番大事なことは、弁護士への相談・依頼することでしょう。
刑事手続の中で、家族がしてあげられることは、それほど多くはありません。起訴の前でも、示談交渉などは弁護士に頼む必要があります。上記のとおり、示談はとても重要なものです。
検察官の処分の前に示談を成立させることにより、不起訴が見込まれる案件であれば、23日間しかありませんので、早急に弁護士に依頼する必要があります。
保釈の手続をとりたい
保釈とは、裁判所から決められた保釈金を預けることで、一時的に勾留から解放される制度のことです。保釈されると、刑事裁判が終わるまでの期間を拘置所ではなく、自宅で過ごすことができます。
保釈の手続きを取ることができるのは、起訴されてからです。保釈請求ができたとしても、保釈が認められるかどうかは事案によります。
保釈金の金額は、被告人の経済状況や、事件の内容・性質によって異なるため、一概には言えませんが、相場は200〜300万円程度と言われています。もっとも、数十万円という事案もないわけではありません。
保釈が許可されても、その後の生活で保釈条件を守らないと保釈は取り消されます。保釈が取り消されると、再び収監され、保釈金は没収されます。
保釈条件には、
- 逃亡せず、公判期日に出頭しなければいけない
- 証拠隠滅を図ってはいけない
- 共犯者や被害者との接触禁止
などがあります。
さらに、保釈中は住居が指定されますので、そこに居住しなければならず、住居を変更するにあ、裁判所の許可が必要になります。また、旅行にも許可が必要です。
保釈条件を守り、保釈が取り消されることなく、刑事裁判が終われば、保釈金は返還されます。
弁護を依頼したい
刑事弁護には、国選弁護人と私選弁護人があります。
国選弁護人とは、「国が選んでくれる弁護人」のことで、自分で選ぶことができません。これに対して、自分や家族が選んで依頼した弁護人のことを「私選弁護人」と言います。
では、逮捕された人は、どのように弁護士を探すのでしょうか。
逮捕されて、弁護士を呼んでもらう場合、知っている弁護士がいなければ、当番弁護士を呼ぶことになります。
当番弁護士とは、逮捕・勾留されて、弁護士に相談したいときに、1回だけ無料で弁護士に相談することができる制度です。
弁護士に相談したいという人がいる場合、警察署や裁判所から弁護士会を通して、その日の当番として待機している弁護士に連絡が入りますので、連絡を受けた弁護士が、警察署に面会に行きます。
そして、その弁護士にそのまま国選弁護人もしくは、私選弁護人になってもらうことはよくあります。
それ以外では、家族が誰かから紹介を受けたり、インターネットで検索したりして、弁護士を探し依頼する場合もあります。また、家族が当番弁護士の派遣を依頼することもできます。
弁護士を選ぶ場合には、費用面も大切ですが、その他に、刑事事件の経験や実績や、本人、家族との相性・話しやすさなども考慮して選びましょう。弁護士と依頼者も人間同士ですから相性があります。なんでも話しやすくて相談しやすい弁護士でなければ、刑事手続きを一緒に戦っていけないでしょう。
告訴、告発をしたい
告訴
告訴とは、捜査機関に対して、犯罪事実を申告して処罰を求める意思表示のことです。
よく利用される「被害届」と違う点は、「処罰を求める」点です。
また、起こった犯罪が親告罪である場合には、告訴が訴訟条件、つまり、起訴をするための条件になります。そのため、親告罪で告訴を取り消した場合には、刑事事件は終了となります。
刑事訴訟法第230条には、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる」と定められています。
告訴権者は、被害者の他、被害者の法定代理人(親権者、後見人等)です。被害者が死亡した事件では、配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹になります。
告訴は、書面又は口頭でしなければならないとされており、通常は、告訴状を作成して、警察署に提出します。
犯罪捜査規範第63条には、「司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があったときは、管轄区域の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない」と定められていますから、告訴があった場合には、本来、警察は、これを受理しなければなりません。しかし、実際には、警察が受理を拒否することはよくあります。
告発
告発とは、犯人又は告訴権者以外の第三者が、捜査機関に対して、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示です。
告訴との違いは、「第三者が行う」という点です。
告発も、書面または口頭でしなければならないとされていますが、告発状を作成して提出した方がよいでしょう。告発についても、上記犯罪捜査規範第63条記載のとおり、警察が受理しなければなりません。
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