その他の家事問題
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養子の問題
養子縁組は、縁組の届出をすることによって行います。
未成年者を養子にする場合には家庭裁判所の許可が必要です。ただし、自分の直系卑属(孫など)を養子にする場合や、配偶者の連れ子を養子にする場合には許可は必要ありません。
養子縁組をすると、法律上、実親子と同様の親子関係を作ることになります。親子間の扶養義務が発生し、養子は養親の相続人になります。
普通養子縁組によって、誰かの養子になった場合、養親との間に、法律上の親子関係が発生しますが、実の親との親子関係も存続します。そのため、養子は、養親の相続人であり、実親の相続人でもあります。
母が子を連れて再婚し、子と継父が養子縁組した場合、子に対する扶養義務は、第一次的には、養親に発生し、養親が扶養できない事情がある場合に限り、実親にも発生することになります。
普通養子縁組の他に、特別養子縁組というものもあります。
特別養子縁組とは、6歳未満の子供の福祉のために、実親子関係を消滅させて、養親との間に実親子関係に準ずる関係を作らせるための制度です。子の利益のために特別養子縁組が必要であると認められる場合に、家庭裁判所の審判を経て成立します。
普通養子縁組を離縁する場合、離婚と同じように協議で離縁するか、調停で離縁するか、裁判で離縁するかということになります。
裁判で離縁が認められるのは、
- 他の一方から悪意で遺棄されたとき
- 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
- その他縁組を継続した難い重大な事由
があるときです。
一方、特別養子縁組を離縁するには、
- 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること
- 実父母が相当の監護をすることができること
- 養子の利益のため特に必要があること
という条件がそろっている必要があります。この場合に家庭裁判所の審判を経れば離縁することができます。
親子関係をめぐる問題
親子の縁は切れるか?
血縁関係がある限り、何をしても、法律上の親子の縁を切ることはできません。親子間の扶養義務がなくなることはないし、親が亡くなれば相続も発生します。
「籍を抜く」とよく言いますが、親が子の籍を抜くことはできません。離婚した妻が、夫の戸籍から自分の戸籍に子供を異動させるにも家庭裁判所の許可が必要なのです。
子供が親の戸籍から出て行くのは、結婚したときか、「分籍」したときだけです。「分籍」とは、成人の子が親の戸籍から独立して自分の戸籍を作ることを言います。分籍しても、戸籍が別々になったに過ぎず、「法律的には」縁を切ったことにはなりません。
親子間の扶養義務とは?
親子間の扶養義務には、「生活保持義務」と「生活扶助義務」があります。
「生活保持義務」とは、「自分と同程度の生活をさせる義務」のことです。
生活保護義務は、民法760条によって、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と夫婦間の婚姻費用分担義務を定めているところから来ています。
この条文によって、夫婦は、互いに配偶者と未成熟子に対しては、生活保持義務を負っています。
つまり、親が未成熟子(未成年者、障害のある子、学生など)に負う扶養義務は生活保持義務です。
「生活扶助義務」とは、「最低限の生活をさせる義務」です。
これは、民法877条1項に「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と定めています。直系血族とは、家系図の縦の関係で、親と子、祖父と孫という関係です。
そこで、親の未成熟子以外の子に対する扶養義務は、生活扶助義務であり、子の親に対する義務も生活扶助義務にとどまります。
身内間での扶養
上記の通り、親子間、兄弟姉妹間では、互いに扶養義務があります。
さらに、親族の扶養義務として、民法877条2項には、「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」と定めています。
ここでいう三親等内とは、伯父・伯母(叔父・叔母)と甥・姪の関係などです。
この条文による扶養義務も、「相手に最低限の生活をさせる義務」である生活扶助義務にとどまります。
そして、この扶養義務は、家庭裁判所の審判を経る必要があり、調停では成立しません。
この扶養義務を負わせるのは慎重に判断するべきとされていて、直系血族、兄弟姉妹に扶養能力がなく、「特別の事情」がある場合に限られるとされています。
「特別の事情」とは、例えば、AがBの面倒も見ることも前提にBに相続放棄させて、自分が単独相続した場合などが想定されていると言われます。
成年後見(例えば、親が認知症になったなどの場合)の問題
契約や遺産分割などの法律行為を行うには、判断能力(事理弁識能力)があること必要です。認知症、知的障害・精神障害統合失調症などにより、意思判断能力が十分ではない人には、判断能力の程度に従って、後見、保佐、補助の3つの制度を利用することになります。
その中の成年後見制度とは、判断能力を欠いていると判断された人に後見人が選任される制度です。成年後見人は、本人(成年被後見人)の法定代理人として、財産管理権と身上監護権を有し、本人に変わって法律行為を行うことになります。
成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に「後見開始の審判申立」を行うことが必要です。
診断書や鑑定によって、「後見相当」であると認められれば、後見が開始され、後見人が選任されます。
後見人には、親族が選ばれることが多いですが、親族間に争いがあったり、財産が多額であったり、解決するべき法律問題を抱えていたりする場合には、弁護士や司法書士などの専門職が後見人に選ばれます。
財産管理の後見人が専門職、身上監護の後見人が親族になるようなこともあります。
後見人は、定期的に本人の財産状況を家庭裁判所に報告するなどの義務を負います。
後見人が被後見人の財産を使い込んだ場合には、たとえ親子であっても、業務上横領罪に問われることになります。
そのほか、身内間でのトラブル
養子縁組は、相続税対策のために利用されることがあります。
相続税が、基礎控除額が、「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」という方法で計算されるため、「法定相続人の人数」を増やすために、子の配偶者や孫と養子縁組するのです。
もっとも、無制限に養子を「法定相続人」に入れられるわけではなく、相続税の計算のための「法定相続人」に含めることができる養子の数は、被相続人に子がいる場合は、1人まで、子がいない場合は2人までと決められています。
例えば、長男Aと二男Bの2人兄弟の場合に、父が長男の子Cを節税目的に養子にしたとします。母はすでに亡くなっている場合、本来、Bの相続分は2分の1でした。しかし、Cを養子にしたことにより、確かに節税効果はありますが、Bの相続分は3分の1になってしまいます。
Bとしては、このような養子縁組は無効なのではないかと考えます。なぜなら、最高裁判所昭和23年12月23日判決は,「たとえ養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があったとしても,それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものに過ぎないときは,養子縁組は効力を生じない。」と判断しているためです。
しかし、最高裁判所平成29年1月31日は、「相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである。したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう『当事者間に縁組をする意思がないとき』に当たるとすることはできない」としました。つまり、節税目的の養子縁組も縁組意思が併存していれば有効であるとしたわけです。
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